長野市民新聞掲載記事
「ドライフラワーで自己表現」
2001.10.10号掲載
長野市民新聞さんに許可を得て記事を再掲しますので、お読みにならなかった方はこちらからどうぞ。
ドライツラワーというと素朴なイメージが強いが、長野市三輪の坂本裕美さんのアレンジは独特だ。
デンマークスタイルをベースに、落ち着いた色合いの作品は、大人の雰囲気をかもし出す。
「引き算」の緊張感を追求して、和の空間にも溶け込むアレンジにも到達。坂本さんにとってあるがままの自分を表現する手段であるという。
自宅の一室にある「カラコレス ドライフラワー アートスクール」。
まもなく始まる長野市での作品展を前に、作品、花材、デンマークから輸入したリボンであふれている。
茶色やワインレッドなどシックな色合いの花たち。卵のから、樹皮の加工品など珍しいものもある。
「アメリカのテロの影響で、輸入した花材が予定通りに届かなくて、あわててます」と坂本さんは苦笑する。
坂本さんは夫の転勤で南佐久郡川上村に住んでいたころ、周りの花を集めてドラィフラワー作りを始めた。
95年から長野市の自宅で教室を開設。
その中で、デザインを追求するデンマークスタイルのアレンジと出合い、独自のデザインを研究してきた。
坂本さんの作品は、大胆で目を引く。
エスニック風の味わいもある。
「従来の素朴な雰囲気ではなく、自分らしさを求めてきた。緊張の中にいやしか感じられれば」。
昨年から、和のアレンジにも取り組んでいる。
「日本の住環境を考え、そこに合うものを考えた。花材を少なく、洗練した雰囲気を求め、引き算をしていったら、和のスタイルに通じるシンプルな形になった」という。
赤と黒の対比が印象的な作品は、長野市内のレストランなどを飾る。
今年三月には上水内郡戸隠村を訪れたデンマーク大使の食事の席の飾り付けも任された。
外国人にも分かりやすい「和」は、現代的な家屋にもマッチする。
現在、教室は自宅のほかに8カ所、生徒は約百人に上る。
趣味のレベルから、プロを目指すライセンス、研究コースもと幅広い。
「お手本を見せてこの通りにというのではなく、自分を表現してくださいと指導してます。人の顔色を見て生きてきた人が、自己表現の手段として取り組んでいくと、表情がどんどん変わっていくんです」と坂本さん。
「自己と向き合うことが、いやしにつながるようです」
講師の山岡優子さんは「生花と違い、ドライフラワーは自分を表現しやすい。デザインに限度がないのがおもしろい」と話す。
教室に通うのは三回目という女性は、これまで子育てに専念していたが、子どもの小学校入学を機に、自分の世界を作りたいと思って入校した。
「ライセンスを取って自分に自信を付けたい」。
別の女性は「研究コースに入ると自分で決めてくださいと言われて、表現したいものはなんだったのかと問い直した」という。
「ありのままの自分を表現して」という坂本さんの言葉にひかれて通い続ける人は多い。
11月1日から長野市のながの東急内イタリアントマトで、坂本さんのクリスマスディスプレーを行う。
生徒作品展は10月12~17日、ながの東急、31日~11月4日、同市東急ライフ。
11月22~28日、上田市の喫茶ちゃふる。
11月16日まで南安曇郡豊科町の平安堂あづみ野店カフェぺえじで開催中。
問い合わせは電話026-243-6668。